金沢の「味」
蓮根の甘酢漬け
蓮根のシャキっとした食感と ごまの風味、そして甘酢の爽やかさが夏にもぴったり。
でも食べれば食べるほど舌に残る奥深い魚介の味わいは・・・・
そう、 実はこの『蓮根の甘酢漬け』には隠し味があります。
「いしる」とは、能登地方に古くから伝わる魚醤のことで魚介の旨味が溶けこんだ伝統調味料です。
仕込みは腐敗を防ぐため寒い時期に行われ、新鮮なイワシやサバなど数種類の魚を内臓ごと1~2年塩漬けにして樽の中で発酵と熟成をさせます。
秋田県の「しょっつる」、香川県の「いかなご醤油」と並ぶ日本三大魚醤の1つですが、その中でも生産量はずば抜けています。
魚醤というと匂いのクセが強い「ナンプラー」を思い浮かべる方も多いですが、「いしる」はまっすぐな和の香りが特徴です。

国内・海外問わず他の魚醤と比べても、うま味の元となる「総遊離アミノ酸」が多く、香りに臭みやクセが少ないため「だし感覚」で使えます。
隠し味に少量加えると、後味に自然なコクや深みを出せる魅力があり、地元では刺身や煮物の隠し味、郷土料理に今も広く使われています。
配合は造り手によって異なるため、色々な「いしる」を試してみるのも楽しみの一つです。
その歴史は古く、言い伝えによると江戸時代(18世紀後半) には存在していたそうです。 流通網が発達していない頃、 能登の山間部の農村では醤油なども購入できる機会が少ないため、海岸部で作られた「いしる」と米を物々交換していたと言われています。
能登町宇出津地域では、江戸時代のものと思われる木桶でいしるを漬け込む生産者様もいらっしゃるほどです。同じ江戸時代から「ハスノ根」として加賀藩の上層武士間で薬用で使われていたのが、「加賀れんこん」ですので、蓮根も石川県とは非常に縁のある食材です。
魚介の旨味「いしる」が楽しめる
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